深川清洲橋通に面した小さなビルです。入り口付近の装飾に特徴があります。昔路線バスに乗っていてこのビルを見て、非常に気になっていたんですが、何のビルか全く分かりませんでした。
しばらくして、古書店の店頭で300円均一で売っていた本(参考文献)に、このビルの写真を見つけて、やっと謎が解けました。
このビルは三野村合名会社(現在は株式会社のようです)の社屋で、昭和初期の建物と思われます。同社は、三野村利左衛門が、1823年(明治6年)に、三井大元方(持ち株会社のようなもの、後の三井合名会社の基)に倣って創設した三野村大元方を基に1914年(大正3年)に設立されたものだそうです。
三野村利左衛門というのは、幕末から明治初期にかけて三井の危機を救い、三井財閥の基礎を築いた経営者です。後に、三井より功績を称えられて、現在の 清澄2丁目(3,6,7,8,11,12番)に土地が贈与され、邸宅を構えました(跡地として江東区の史跡に登録されています)。隣地は、岩崎彌之助深川別邸(現在の清澄庭園)で、豪華さを競いあったものだそうです。この邸宅の跡(の極一部)に同社社屋があるわけです。
建築ガイドブック等をいろいろ調べてみたのですが、掲載されているものは見つかりませんでした。このため、建築年代等が全く分かりません。確かに、入り口の装飾以外には、あまり特徴が無いとも言えますが(建物の縁の部分にも装飾があります)。私はかなり気に入っているのですが、専門家からはそれほど評価されていないのでしょうか。
ネットで検索してもほとんど情報は見つかりませんでしたが、この建物は、映画やドラマの撮影にも良く使われるそうで、最近では、TVドラマ「華麗なる一族」でも使われたそうです。
外観から見る限りですが、非常に良く手入れされており、大事に使われているようです。小さなビルですが、今後も永く使用かつ保存してほしい建物です。
【参考文献】以下はAmazonの広告です。
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